社会の変動 · スペンサー

社会変動の世界各論 | 記事URL


H. スペンサー(H.Spencer, 1820-1903)の場合にも、社会学は、彼の「総合哲学体系」なる計画のなかに、その一部として位置づけられている。宇宙論から生物学までを視野にいれるこの総合計画のうち、社会有機体を対象とするのが社会学とされるのである。

総合計画全体の基本原理には進化論が採用され、社会に対しても同質性から異質性へという進化の視点から検討が加えられている。コントと同様、スペンサーも社会学を静学と動学とに分け、後者において軍事型社会から産業型社会へという変動の視角を提出するのである。

この2つの類型は、社会のなかで優勢なる社会的活動は何であるかという観点から区別されている。つまり、人々の多様な行動を統合する主要な活動が、軍事型社会では組織からの集権的な強制であり、産業型社会では個人の自発的な協力によると理解されているのである。そしてスペンサーは、社会が個人に優越する前者から、個人が社会に優越する後者への変動のなかに、社会の進化を見ていたのである。



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